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心の回診

第一五八回

  8月、パウロ夏祭り。開催の合図のビストルが「パパーン!」と 鳴り、365歩のマーチが流れて職員の大行進。孫の麗生ちゃんと私も、パウロ病院の旗を振って足並揃え、会場を元気いっぱいに行進して、「めんこいね!!」の応援に麗生ちゃんはスターみたいに手を振っていました。行進が終わって、患者さんのT男さんが「孫、めんこかったな!ところで、会長いくつさ!?」「私?ウン 」と言いかけて、慌てて口を押えた。「あ、危ない!危ない!」二人で「ワハハハハ」と空に向かって大笑い。…ところで本当の年はいくつだっけ?普段サバばっかりよんでるから、わかんない!!」 なんて一人冗談を言いながら、7月に誕生日を迎えたばかりの私は、年のことなんか考えたくないなあ」と思ったりした。  
この間、ショックなことがあった。町内会の回覧板を、次の家に届けた行った時、いつも元気な奥さんのK子さんが、回覧板を受け取ったきり、「これ、どうすればいいの?どこへ持ってったらいいの?」と、困った顔を向けたのだった。私は一瞬戸惑ったけれど、あっと思って「帰る途中だから届けておくね」と引き取った。認知症…。あの時のK子さんの心細そうな、不安気な表情が忘れられない。本当に心細いだろうな。不安だろうな。自分が壊れて行く。どうすればいいの?残っている正常な精神の中で悩んでいたに違いない。他人事でなくて、自分の胸も苦しくなって来た 。
認知症が進む母の事を思い出した。母も苦しかったろうな…。 この世に「おぎゃあ!!」と産まれて来られたのは母のおかげ。いま幸せなのも母のおかげ。料理が好きなのも、お母さんに似たから。
文章を書くのが好きなのもお母さんに似た。
お母さん、ようこそ7月10日、暑い中、私を産んでくれました。私の命大切に生 きるからね。
ありがとう。