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心の回診

第十五九回

平成25年、今年最後の「心の回診」です。師走を皆さんはどのようなお気持ちで過ごされているのでしょうか?私は、余裕をもって、ゆったりと「新しい年を迎えよう」と、十一月の初めの頃には確かに思っていました。所がどうでしょう、此処に来て、例年通り、心があわて始めました。そんな折の事です。「心の回診」を欠かさず読んで下さっていると言う男性の方から、
「一度、中山さんに逢ってみたいと思っていました」と言う電話を頂きました。お互いの都合の良い日を選んで、パウロ病院で会う事になりました。
 その方は、カトリックの信者さんで、お名前はKさん。Kさんは「私にはどうしても好きになれない人が一人います。これではいけないとわかっていながら、その人と一緒になるのを、できるだけ避けようとしています。仕方なく一緒になってしまった時には、冷たい態度になってしまいます。その度に自分が情けなくて、『今度こそは優しいふるまい、人間になろう』と決心するのに、いざ、その彼と向き合うと、顔も態度もこわばってしまいます。どうしたらいゝのでしょう。中山さんは日頃から沢山の人と出逢っている筈、何かアドバイスを下さい」との事でした。
 さあ、困った!確かに、患者さん、その御家族、いろいろな方を含めて、様々な相談を受けて来ましたが、どうしても好きになれない人と仲良くするには…?の相談を受けるのは初めての事でした。
 「神様仏様に祈ったから、立ちどころに心の悩みが解決され、傷が癒え、心が安らかになる訳ではないと思います。まして、長い間『嫌いだ、大嫌い!!』と思っていた人を好きになりましょ
う、優しい言葉を…と思っても、難しいでしょう。竹の節々のように、今迄の自分と違う私、
『新しい自分』になるチャンスを掴みましょう」が、私の答えでした。