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エッセイ心の回診〜また明日ね〜


第七十三回 (2006年10月)

 土曜日の昼下り、コスモスが描かれた絵葉書が届きました。心の回診を読んで下さっている読者の方からでした。読んで行く内に、私は7月のある日、入院相談という形でお会いした「Aさん」を思い出しました。難病が進んで行くご主人の事で相談に来られたのです。奥さんは24時間の介護で、心身共に疲れている様子でした。私はあの時、どれ程のアドバイスと励ましの言葉を添える事が出来ただろうかと、気にかかっていたのです。しかし葉書には、入院せずに在宅で頑張る決心をした奥さんに、ご主人が「ウチでボチボチやろうね」と言い、それが2人の合言葉となり「ボチボチ頑張っています」と感謝の言葉で結ばれていました。

 介護は休みなく果てしなく続きます。人の優しさには限界があります。私はそんな事を奥さんにお話したような気がするのです。

  私はパウロ病院の会長として、いろいろな事に関わっていますが、一番好きな仕事が「入院相談」 と言うご家族との面談です。暗い表情で来られた方が、雲の晴れ間のように少しずつ心が晴れて行く様子が分かる時、この仕事の素晴しさ、やり甲斐を感じる一瞬です。

 私も長男が6才の時、脳腫瘍が発見され、二人の幼い子供を残して大学病院に泊り込んだ事がありました。息子の目から光が失われた悲しみと、家で待つ二人の子供の泣き声がいつも耳に聴こえ、自分の気持ちがコントロール出来なくなっていました。その時、こんな詩が出来ました。

 24時間幸せでなくていいのです/ほんの少しの時間/何もかも忘れて/「幸せ」と思える一瞬を見 つけられれば/それで私は十分です。聖書の中にも「疲れた者、重荷を負う者は誰でも私のもとに来なさい。休ませてあげよう。(マ タイ11の28)」とあります。

 Aさんの奥さん、ボチボチ頑張って下さいね。いつでもSOSを下さい。

(医療法人中山会新札幌パウロ病院会長)
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