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エッセイ心の回診〜また明日ね〜


第七十一回 (2006年8月)

8月9日、この日、私の熱い夏は終わった。連日30度を越える炎天下のもとで、パウロ夏祭りのためのよさこいの練習を頑張った。

  祭りの当日、会場の準備をしている職員の背中が汗で世界地図のように濡れていた。火を扱う焼鳥、たこ焼き係りの担当者の顔は茹で蛸のように真っ赤だ。仮装大会を狙った全身着ぐる身の面々も、滝のような汗を流しながら一言も「暑い」とは言わない。それは患者さんの顔が笑っているから・・・。私達はこの笑顔が見たいから頑張るのだ。

  10何年も昔の事、長く入院されている患者さんが「毎日同じことの繰り返し、たまらなくむなしいのです」と訴えた言葉が、私の心を動かした。私達が当たり前に吸って吐く1分1秒1呼吸が、患者さんにとってどんなに大切なものか、そんな事を考えた事がなかった私。1日天井を見て、寝て過ごす入院生活は余りにも寂しすぎる。長い入院生活が続く患者さんをベットから起こしてあげたい。

「中庭でのピクニックはどう?」

と師長達に相談したら、全師長が両手をあげて賛成してくれた。おやつと水分補給の水物を準備して、後ろでは院長が見守ってくれていた。患者さんの嬉しそうな笑顔に大きな達成感を味わったものだ。

  これがパウロ夏祭りの原点だ。「夜の行事は無理?患者さんに、花火を見せてあげたい」。職員の大半が賛同の手をあげ、1患者に1職員が付き添いガードする。

  今年も夜空にははじけ散る連発花火を、皆で1つ、2つと数えていたら、言葉に障害のある患者さんから「パ・ウ・ロ!!」と掛け声がかかり涙が出るほど嬉しかった。むなしい心はどこから来るのか? それは、明日に希望が持てない時。明日は良い事がある、そう思える事で、病気に向き合って行ける。人生のその時、その瞬間は2度とないのだもの、ネッ!?そうでしょ?見上げた空が秋だった。

(医療法人中山会新札幌パウロ病院会長)
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