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エッセイ心の回診〜また明日ね〜


第七十回 (2006年6月)

 札幌には3度雪が降る・・・と、素敵な表現をした人がいた。冬の白い雪、春のタンポポの綿毛はフワフワと幸せを運ぶかのように飛んで行く。初夏を迎える頃のアカシアの花は、風が吹く度に舞い散り本当の雪のように美しい。そう言えば”アカシアの雨に打たれて、このまま死んでしまいたい・・・”という歌があった。暑からず寒からず私の大好きな季節が巡ってきたのに心は浮かない、ナンデ?今年はちょっと違うぞ?と自分を振り返った。「痩せたい、痩せたい」と思っている時には、食べる事を我慢したとしてもたった1キロの減量がなかなか出来ない。それが心に悩み事があると、いきなりストンと3キロも減った。驚いた。体ってこんなに正直なのだ。顔が細くなり、気になっていたお腹の回りが少し細くなった。そんな私に娘が言った。「頬がこけておかしいよ」「だって・・・」と言いかけて言葉を呑んだ。「仕事が大変だ」などと言おうものなら「じゃ辞めれば?」と言われる。仕事は大好きなのだ。どんなに忙しくても全然苦にならない。

  でも、今回の医療、介護の制度改革はひどい。私は心底参ってしまった。この厳しいハードルをどうやって乗り越えて行けば良いのだろう。おまけに介護療養病床は、6年後の平成24年には廃止となる運命にある。

 深夜のテレビ番組の討論会の中で、コメンテーターの人が物知り顔で言っていた。「今回の改定で、高齢者は病院から在宅に戻れる事になるのです。昔の良き時代のようにおじいちゃん、おばあちゃんは家族に囲まれ、家族に看取られて死ねるという事です」と。そんな事ができる筈がないのに、絵が画いた餅ってこんな事を言うのだろうか。課せられたハードルは高くて厳しいけど、パウロ病院の患者さんはしっかり守らないと駄目だ。アカシアの雪のような花びらが、心をほんの少し和らげてくれた。

(医療法人中山会新札幌パウロ病院会長)
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