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エッセイ心の回診〜また明日ね〜


第六十回

 本当に暑い夏だった。 お盆を過ぎたある日、空の上で夏子さんと秋子さんが季節のバトンタッチをしたのを感じた。秋は今年もきちんと来た。「すごいなあ」と私は毎年子供のように思う。人は暑ければ「暑い、暑い」と言い、折角涼しくなれば「また寒い冬ですね」と言う。天の神様はきっと「どうすればいいんじゃい!」と怒っていると思う。

  そんなある日、パウロ病院の関連施設・ケアハウス桜の入居者の宮野御大将(82歳)が「理事長、何か元気になる素はないかい?」と言う。「間もなくワインパーティーがありますよ。ママがたっぷりとお色気でサービスしてあげますから」と言うと、御大は「フフフ・・・」と相好を崩して笑った。

 ケアハウス桜は、十月一日で開設二周年を迎える。個々のプライバシーが守られながら、いろいろなサークルも増えて来た。札幌市にケアハウスは16ヶ所あるらしい。昨年はゲートボール大会に初出場して、初優勝に輝いた。同じ時期日本一になった駒大苫高に倣って、天に指一本さして雄叫びを上げたものだ。 今年も準優勝で「準優勝で十分!」と、また天に指を指して喜び合った。

 数ある行事の中で特に人気があるのが、年に数回の「クラブ桜」の開店だ。6階のラウンジが夜のとばりと共にクラブ桜に変身する。お化粧を濃い目にして私はママ。チイママにヨッチャン。ケンチャン、ノブチャン、ナオキ君、イケメンの男性スタッフはスーツ姿でホスト役。男女めいいっぱいお洒落をした入居者のお客様で開店と同時に満員御礼の札が下がる。ワインの栓が次々と抜かれて飲む程に酔う程に饒舌になり、笑い声でクラブ桜は、ススキノのどのお店にも負けないお店となる。元気になる素?ママは今度御大のお膝に優しく手を乗せてウインクしてみようかな?飄々とした宮野さんの照れた顔が目に浮かぶ。ウフフ・・・

(医療法人中山会新札幌パウロ病院会長)
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