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心の回診

第一四三回

パウロ病院の関連施設、グループホーム夏桜の三浦ホーム長から、嬉しい電話がきた。「入居者さんと一緒にお昼の食事会にどうぞ。中山会長のお誕生会です」「エッ!?まあ、嬉しい!!自分の誕生日、忘れていたワッ」

私はお腹を空かせて、ルンルン気分でホームにお邪魔した。18名の入居者さんと、スタッフが笑顔で迎えてくれた。パーティの準備が整い、おいしそうな匂いがホームの中に漂っていた。メインの御馳走は、散し寿司をまるい大きな型でぬき、デコレーションケーキのように飾りつけ、玉子のそぼろで「会長さん お誕生日おめでとう」と書かれていた。入居者さんと職員が歌ってくれる「ハッピーバースデイ会長さん♪」の合唱に、ホロリと泣いた。のりさんは御年94歳、少し耳は遠くはなっているが、どうしてよく食べ、よく喋り、よく笑う。のりさんが笑うとつられて皆が笑い、私も沢山笑った。

人生六十年…と言われていた時代があった。とんでも八分!転んで10分!驚きだ。このホームには通用しないと思った。皆んなの目、瞳が笑っている。私が子供だった時、「笑ってたべるとね、たべた物が全部栄養になってね、大きくなるんだよ」と教えてくれた母の言葉を懐かしく思い出した。口ぐせのように言っていただけに、母もコロコロとよく笑う人だった。なのに、久びさに先日母のホームを訪れて、母が笑わない事に気がついた。ひ孫のRちゃんの写真を見ても笑わない…。笑う事は、玉子三個分の栄養があると言って、コロコロ笑っていた母、歌を忘れたカナリヤではなく、笑いを忘れたお母さん。

ごめんね、なかなか行けなくて…。もうすぐ逢いに行くよ。

ダルマさん ダルマさん にらめっこしましょ!!笑ったら負けよ♪なんて歌って、絶対お母さんを笑わして上げる。