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心の回診

第一四七回

年賀状を書く季節になりました。時計の針はいつもと変わりなく、時を刻んでいます。栄養科から今年度最後の献立表が提出されました。私は、栄養士の資格を持っていることが幸いして、患者さんに提供される献立表には毎月目を通し、試食をして、残菜率等にも目を通しチェックします。因みに今日の昼食は、御飯・サンマの梅煮・手作り餃子・三平汁・沢ワンが三切れついて、体が温まるおいしい昼食でした。
 経理課からは、職員が楽しみに待つ冬期賞与の数字が提出されました。決済の押印をする時は心をひきしめて、決済印が「真直ぐ」に朱肉の色も美しく押印します。たかゞ判コ、されど判コです。今年度も健全経営ができた事への感謝で胸が熱くなり、そして安堵に変わって行きました。
 心の回診も、今年の最後の原稿になります。このコーナーを持たせて頂いたお陰で、沢山の出逢いを戴きました。800字の原稿用紙に向かって、自分の文章を削除する時は、産みの苦しみにも似た痛みがあって、よい勉強になりました。
 時々私は病棟を回ります。ほとんどが介護度の重い、医療が必要な患者さんです。その重い病の患者さんが、私に「おいで、おいで」と言うように手まねきしてくれました。私の、胸の名札を見て「会長さんでしょ?あなたのファンなの。新聞の心の回診をね、息子が切り抜いて来てくれるの」と、細く白い手を差し出してくれました。痛くないようにそっと握り返しました。
 私のめんこの孫は2年生になりました。宿題係は幸せな事に、私の役目です。計算には指を使ってはいけないと言う母ちゃんと違って、「使えるものは足の指まで使っていゝ」と言う私と孫は仲よしこよし。心の回診の読者の皆様、今年度も拙い原稿を読んで下さいまして、有難うございました。良いお年をお迎え下さい。